句点はどこに打ちますか?(その2)

◆「公用文ルール」はどこにある?

このブログ連載のテーマは「公用文ルールを文書標準に生かそう」です。前回は、官公庁で作られる文書の書き方、つまり「公用文ルール」には大変合理的な部分があり、そのような部分は民間プロジェクトの文書標準にも積極的に応用できるのではないか、と書きました。

みなさまの中には、「それじゃ、「公用文ルール」がWebで公開されていたら紹介してもらいたいな。そうしたら、このブログ記事ではなく、自分で調べたい。」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。
「そもそも「公用文ルール」があるのなら、個別のプロジェクトで「文書標準」なんて作る必要はないのでは?個別に作るのは時間の無駄ではないの?」という突っ込みも聞こえてきそうです。

そこでまず結論をいいますと、民間プロジェクトの「文書標準」に応用できそうな一番肝心な部分については、「明文化された公用文ルール」は存在しません。
順を追って説明しますと、「公用文ルール」に関する正規の資料集は、文化庁のHPに掲載されており、誰でも参照・利用することができます。

文化庁のホームページ「公用文の書き方資料集」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/series/21/21.html

内容を見ていただけばわかるとおり、「常用漢字表」をはじめとする内閣告示・内閣訓令により、「単語の書き方」については、明確な文書化されたルールがあります。さらに見ていくと、用字用語・文体・書き方などの一番肝心な部分については、「公用文作成の要領(公用文改善の趣旨徹底について)(昭和27年4月4日内閣閣甲第16号内閣官房長官依命通知)」なる文書にたどり着きます。

しかし、「公用文作成の要領」に軽く目を通してもらうだけでわかると思いますが、何度か改訂が加えられているらしいとはいえ、ベースとなっているのが昭和27年(1952年)、つまり60年以上前の文書であり、内容も大変古いものです。次回以降の連載で詳しく触れる機会がありますが、現在の「公用文」ではほとんど守られていないルールも記載されています。

もう一つ、「公用文の書き方」のキーワードでWebを検索すると、容易に行きあたる文書があると思います。ただしこちらは、元公務員とはいえ民間の方が書いた文書ですので、やはり公式なルールではありません。

さて、「では「公用文ルールを文書標準に生かそう」といいつつ、肝心のルールそのものがないのなら、どうやって生かすの?」という突っ込みが聞こえてきそうですが、「公用文ルール」は、あります。

◆帰納法としてのルール

多くの「公用文」を読んでいくと、書き方に明確な「傾向」があることに気がつくと思われます。つまり、明文化されていなくても、特定のルールが成立していると考えることができるのです。このブログ連載においては、「公用文」を適宜引用することで、これらのルールを帰納法的に示していきたいと思います。

個別のプロジェクトにおいて、「文書標準」をその都度作成する理由としては、明文化された「公用文ルール」が存在しないため、手軽に参照できないことがあげられます。
そのことに加えて、「公用文ルール」をそのまま適用できない部分であったり、プロジェクト毎に使用すべき用語が異なったり、過去のプロジェクトの経緯を踏まえるべき部分と新たに改訂すべき部分があったりするなど、さまざまな理由が考えられると思います。「公用文ルール」が一つあれば、それで日本のあらゆるプロジェクトに適用可能、というわけにはいかないのです。

・引用についておことわり
法令の話になりますが、著作権法で保護された著作物の場合、勝手な引用をすることはできません。しかし、「憲法その他の法令」や、「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの」は著作権法の保護対象外です。本ブログでは、これらの「公用文」のうち参考になる部分については、出典を明らかにしたうえで適宜引用いたします。
なお、著作権の目的とならない著作物については、著作権法の第十三条をご参照ください。

前置きが長くなりましたが、第1回からの質問となっている「句点はどこに打ちますか?」の答えと解説につきまして、さらに次回のお楽しみとさせてください。
(ここまで引っ張ってしまったため、次回こそは質問の解説から進めさせて頂きます。)


なお、このブログの文章そのものは、公用文ルールには必ずしも従っていません。公用文ルールをそのまま適用すると、堅苦しくなりすぎる場合があるからです。次回以降も、どうか気軽に読んでいただきたいと思います。単なる話のネタとしていただいても結構ですし、また実際に文書標準を検討するときの参考にしていただけたら大変うれしいです。


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